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名古屋地方裁判所一宮支部 平成6年(ワ)269号 判決 1998年5月08日

愛知県<以下省略>

原告

右訴訟代理人弁護士

纐纈和義

大田清則

東京都中央区<以下省略>

被告

三貴商事株式会社

右代表者代表取締役

右訴訟代理人弁護士

淺井洋

主文

一  被告は、原告に対し、金九〇〇万一四六〇円及びこれに対する平成五年一二月二四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを五分し、その三を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

事実及び理由

第一原告の請求

被告は、原告に対し、金二二九〇万三六五〇円及びこれに対する平成五年一二月二四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、被告に委託し白金の商品先物取引を行っていた原告が、被告の従業員の違法な勧誘や、一任売買、無意味な反復売買等の違法な取引があり、その結果を被告に預託した委託証拠金と返戻金の差額相当の損失を被ったうえ、精神的苦痛を受けたとして、不法行為を理由に、被告に対し、右損害の賠償を請求した事案である。

一  争いのない事実及び弁論の全趣旨から認められる事実

1  原告は、昭和三〇年○月○日生まれの男性で、歯科医院を開業している歯科医師である。

2  被告は、商品取引法の適用を受ける商品取引所の市場における上場商品の売買及び売買取引の受託業務等を業とする株式会社である。

3  原告は、被告の従業員B(以下「B」という。)やC(以下「C」という。)から商品先物取引の勧誘を受け、平成五年一月二七日、被告との間で、商品先物取引契約を締結し、被告に対し、左のとおり、委託証拠金として合計二〇〇二万円を預託し、別紙取引一覧表記載のとおり、同日から同年一二月二四日までの間、東京工業品取引所において白金の先物取引(以下「本件取引」といい、別紙取引一覧表記載の各取引は同表記載の番号で示す。)を行ない、平成六年二月九日取引を終了し、一一一万六三五〇円が返戻された。

(預託金)

預託日 金額

① 平成五年一月二七日ころ 一二六万円

② 同年二月二日ころ 六三万円

③ 同年三月三日ころ 一八九万円

④ 同年九月一日ころ 一七〇万円

⑤ 同月二八日ころ 五〇万円

⑥ 同年一〇月一五日ころ 三〇〇万円

⑦ 同年一一月二二日ころ 一一〇四万円

合計 二〇〇二万円

(返戻金)

返戻日 金額

⑧ 平成六年二月九日ころ 一一一万六三五〇円

預託金と返戻金の差引額 一八九〇万三六五〇円

二  原告の主張

商品先物取引は極めて投機性が高い取引行為で、少額の元手で短期間の内に多額の利益を得ることができる反面、商品相場の予想は複雑な要素が絡み、正確な予測が困難であり、思惑がはずれて短期間で多額の損失が生ずる可能性も大きいという性質をもっている。

また、商品先物取引の制度上、取引を行おうとする一般投資者は、取引員に依頼をせねばならず、取引の実行については取引員か外務員に全面的に依存することとなる。すなわち、顧客は、相場の値動き、市場の動向、価格変動の要因の変化等の相場に関する情報を取得し得る立場にないため、これらの情報の取得も取引員又は外務員に全面的に依存しなければならない。しかも、顧客は、取引員又は外務員から与えられる情報が正しいか否かを検証する術を持たない。さらに、商品先物取引にける取引員の儲けは、顧客が建玉した枚数に応じて発生する手数料によるから、取引が拡大すれば取引員の利益も増えることになる反面、顧客は多額の手数料の負担を強いられることになり、取引員と顧客は、手数料の点で利害が対立する面も有する。

1  被告の違法行為

被告は、かかる危険性を有する商品先物取引において、原告がその取引に無知で未経験であることに乗じ、委託証拠金名下に金員を出捐させ、左の違法行為を行い、原告が預託した金員を自らのものにしてしまった。

(1) 断定的判断の提供(商品取引所法九四条一号、受託契約準則二二条二号)

被告の従業員BやCは、原告に対し、「今が底値です。買うなら今しかありません。これからどんどん上がりますよ。旅行資金なんか簡単に出せますよ。」などと述べて、利益が生ずることが確実であると誤信させるべき断定的判断を提供して取引の勧誘を行った。

(2) 一任売買、無断売買(商品取引所法九四条三号、受託契約準則二三条)

本件取引は、合計四二回もの多数回繰り返されたものであるが、原告の任意、自由かつ具体的な指示に基づいてなされた取引は一つもない。

原告は、BとCから商品先物取引の仕組みについて十分な説明を受けず、基本的な取引の内容をよく理解しないままBやCの言を信じて全てを任せており、主体的に判断し、数量、限月、値段等を指示して注文したことはない。

なお、いずれが一任売買でいずれが無断売買であるかについては、顧客である原告の意思が反映されていない程度の差の問題であり、必ずしも明確に区別できるものではなく、その意味で、本件取引は少なくとも一任売買といえる。

(3) 新規委託者の保護義務違反

新規委託者の保護について受託指導基準は、委託者の保護育成措置を講じなければならず、委託者について三か月の習熟期間を設けるなどとされており、被告も新規委託者保護管理協定に基づく規制と同様に、新規委託者については、三か月の習熟期間を設け、建玉制限につき、原則として二〇枚を超えてはならないとするなどの新規委託者の保護を定めている。

そうであるにもかかわらず、被告は、原告との取引開始日である平成五年一月二七日から三か月間に延べ九五枚、同年四月五日から同月一二日までの間は六五枚の建玉をさせており、新規委託者の保護義務に違反している。

(4) 無意味な反覆売買等

本件取引は、例えば、平成五年一〇月八日から同月二一日までのわずか一三日間に途転、買直しが繰り返され、委託手数料が合計三八九万六四〇〇円にも及んでいることなどからもわかるように、被告による委託手数料稼ぎを目的として無意味な反復売買等であり、その概要は次のとおりである。

① 売又は買直し

売直し又は買直しは、同一日に同一商品について仕切りと新規建玉を行う点において全く意味がなく、徒に取引回数を増やして手数料がかさむだけ委託者にとって有害無益なものであるところ、本件取引中16、17、19、20、21、22、23と24の取引が買直しで、33ないし35の取引が売直しであり、その手数料は二九一万〇四〇〇円もの高額にのぼるものであって、原告の合理的判断に基づく指示によらないことは明らかである。

② 途転

途転は、既存建玉を仕切るとともに同一日内で新規に反対の建玉を行っているもの(異限月を含む。)であり、相場が逆に展開することを予想しているときに行うとされるが、証拠金全額を使ってこれを繰り返すと一、二回は利益が出ても数回のうちに追加証拠金がかかるような結果となり、利益分を含めて元も子もなくなってしまい、取引の危険性や資金投入方法の常識を知っている者ならば、途転の繰り返しは行わないはずの危険なものである。

本件取引においては、4、8と9、14、15、32、36ないし39、40ないし42の七回の取引が途転であり、その全取引に占める割合からしても、無定見に繰り返されたものと言わざるを得ないのであり、被告が委託手数料稼ぎの意図で原告を操作していたことが推認される。

③ 無意味な両建

両建は、既存建玉に対応させて反対建玉を行うもの(異限月を含む。)であり、両建したときに損益金が実質的には確定しているから仕切った場合と同じであるが、売・買双方の取引に証拠金を要するし、委託手数料は両建しない場合の倍額が必要であるから、明らかに委託者に不利な取引である上、相場の変動を見極め一方の建玉を外す時期を誤らないようにするなど、委託者に困難な判断を強いるもので商品取引員に操作されてしまうことが多い。

本件取引においては、3、6、7、10ないし13、26、27、28ないし31の七回が無意味な両建取引であり、その頻繁なことからも、原告の意思・実質的理解に基づかずなされたことが推認できる。

④ 無敷、薄敷(商品取引法九七条一項)

本件取引は、原告が委託証拠金を入金しないうちに、被告が建玉を行い、以後一貫して建玉が先行し、委託証拠金の入金が後を追うようになっている。

委託証拠金は、本件取引の当初は約定値段が一九〇〇円未満の場合、六万三〇〇〇円であったが、平成五年五月以降は約定値段が一二〇〇円から一八〇〇円の間の取引の場合一枚四万八〇〇〇円と改めているのである。本件取引については、同年八月一二日の時点には、合計一一八枚もの建玉がなされているものであるが、証拠金は二三四万円余しか存せず、三〇〇万円以上も納付されていないし、同年一〇月一二日、一三日、一八日、一九日、二一日、翌一一月二日の取引も証拠金が納付されないまま行われている。

⑤ 向かい玉

向かい玉とは、顧客の委託玉を対当させて建てる商品取引員の自己玉をいい、向かい玉を建てることによって、顧客と取引員の損益は相対立する関係になり、顧客の損益は事実上取引員との間で決済されてしまうから、向かい玉は相場の動向として顧客に生じた損失ないし利益を取引員の利益ないし損失として取引員に帰属させる機能を有する。

本件取引については、全体として自己玉によって取組残高は売と買の枚数の差が少なくなるようになっており、売と買の枚数の差は、同数のときもあり、そうでない場合でも、すべて一方が他方の九〇パーセント以上となる関係になっているなど、被告が、自己の利益のために意図的に向かい玉を行っていたことは明らかである。

2  原告の損害

原告は、被告の違法行為により次のとおりの損害を被った。

① 委託証拠金として預託した二〇〇二万円と返戻された一一一万六三五〇円の差額

一八九〇万三六五〇円

② 慰謝料

二〇〇万円

③ 弁護士費用

二〇〇万円

④ 右合計

二二九〇万三六五〇円

三  被告の主張

被告の違法行為について

原告は、本件取引について、Cから相場状況等の説明を受け、納得して行ったものである。

原告に対する商品先物取引の勧誘や本件取引の一連の経過において、BやCに、社会通念上商品取引における外務員活動の許容範囲を超えるものはなく、被告の違法行為はない。

(1)  断定的判断の提供について

CやBは、原告に対し、今後白金の値上りが予想されることなどの相場観を単に予想として述べ、商品先物取引の勧誘をしたに過ぎず、利益が確実であるなどと断定的に述べたことはない。

(2)  一任売買、無断売買について

本件取引は、すべて原告の個別具体的な委託に基づくものであり、一任売買でも無断売買ではない。

(3)  新規委託者の保護義務違反について

被告の定める受託業務管理規則には、三か月未満の新規委託者に対しては、その資金状況から見て過大な取引をしないよう注意すべきこと、先物取引の危険性について十分理解を得るべきことを定めているが、原告は、社会的地位も年収も十分に持つと推認される開業歯科医師であること、被告の従業員から十分に商品先物取引についての説明を受け、それを理解していたことなどからすると、違法なものではない。

(4)  無意味な反覆売買等について

本件取引は、委託手数料稼ぎを目的とした無意味な反復売買ではない。

① 売又は買直しについて

売直し又は買直しは、利益を一旦得てさらに利益を確保したり、利益を証拠金に振り替えてさらに建玉を増やす、あるいは限月間に値動きの違いがある場合に、有利な値動きが予想される限月に乗り換えるとか、当限になって値段の回復が見込めないが先に延ばせば値段の回復が見込まれるので先限に乗り換える場合等に利用されるもので、手数料稼ぎを目的とする無意味なものではない。

本件取引は、17、22、23ないし24、33ないし35の四回であるが、いずれも合理的なものである。

② 途転について

途転は、一日のうちに仕切ると同時に反対の建玉をするだけでは足りず、残玉が買又は売の方が多かったのが取引の結果、逆に買又は売の方が多くなるというように全体としても方向が変更している場合をいうもので、相場がボックス圏内で動いている時は極めて有効であり、合理性ある取引手段である。

本件取引においては、途転は8の一回だあり、それも合理的な取引である。

③ 無意味な両建について

両建は、売と買の両方の建玉を持つことであり、通常は、相場の先行がよく読めない時に相場を先ず休む場合とか、相場が長期間予想に反する場合に、両建をして売・買を続け、相場が予想通りになるのを待つ方法としても利用される。

両建は、相場戦法の一つとして有意義であり、古くから相場が曲がった時に相場を凌ぐ方法として使われ、今日においてもその意味は失われていない。

本件取引においては、3、6、10ないし13、26ないし27、28ないし31の五回が両建であるが、いずれも原告の委託に基づく相場状況からも合理的なものであり、違法ではない。

④ 無敷、薄敷について

当初の建玉は、平成五年一月二七日であるが、同日には委託証拠金として一二六万円が預託されており、無敷ではない。

なお、建玉後に委託証拠金が預託されていることもあるが、無敷ではなく、一日建玉が先行したとしても、確実な入金約束があったとすれば、違法なものではない。

⑤ 向かい玉について

向かい玉は、取引員が委託者の売買に対当(対抗関係)してなす自己売買をいうものであるところ、本件取引においては、原告の建玉と被告の建玉の間には、建・落いずれも一方の関係だけ見てもほとんどないし、建から落まで対当するものは一件もない。差玉向いでは、売り回及び残玉の対立関係、あるいは利益相反の関係は、全く認められない。

第三判断

一  前記争いのない事実に、甲第二号証の一ないし三、第三号証の一、二、第一三号証、第一四号証の一、二、第一五ないし一九号証、第二五号証の一、二、乙第一号証の一ないし三、第二ないし九号証、第一〇号証の一ないし三〇、第一一号証の一ないし一三、第一三号証、第一四号証の一、第一五ないし一九号証、第二六ないし二八号証、証人Cの証言、原告本人の尋問結果(ただし、いずれも採用しない部分を除く。)及び弁論の全趣旨を総合すれば、本件取引の経緯等の概要は以下のとおりである。

1  本件取引の開始

平成五年一月二五日に、被告名古屋支店の営業主任であるBは、会社経営者等ある程度の収入や資力のあると思われる者の名簿によって知った原告に対し、電話で被告が先物取引の委託業務等をする会社であることの説明をした上、白金の先物取引の勧誘をし、翌二六日には原告を訪問し、先物取引について説明しているパンフレット、新聞の切り抜き等を示したり、手書きで簡単に図示するなどしながら、損益の計算方法等、先物取引の仕組みの概括的説明等をし、白金が現在よりさらに値を下げるとその精製費用を下回ることになる、白金は今が買い時であるなどと自己の相場観を述べ、熱心に白金の先物取引を勧めた。

Bの上司である被告名古屋支店の営業次長であるCは、白金の先物取引の委託を原告から取り付ける見込みがあると見て、翌二七日には原告に対し電話で、白金に対する自己の相場観や先物取引がうまく行けば海外旅行するくらいの費用は儲けることができることなどを述べて、さらに白金の先物取引を勧めた。原告は、それまで先物取引を行ったことはなかったが、BやCの勧誘に応じ先物取引をしてみる気になり、被告との間で取引委託契約を締結し、白金二〇枚の買注文(本件取引1、限月同年一二月・約定値段一四五五円、乙一〇の一)をした。なお、Cは、Bからの話や原告との会話から、確たる根拠はなかったが原告には年収一〇〇〇万円の所得のほか、三〇〇〇万円位の流動資産があるものと考えていた。

原告は、翌二八日、中期国債ファンドを処分する(甲一四の一、二)などして右取引の委託証拠金のための資金を用意し、名古屋市内のホテルでCに会い、委託証拠金として一二六万円を預託した。その際、Cは、原告に対し、先物取引の説明をするとともに、受託契約準則を交付し、原告は、先物取引の危険性を了知した上で受託契約準則の規定に従い自己の判断と責任において取引を行うことを承諾する旨の諾約書(乙四、七、八)等に署名してこれをCに渡した。

(なお、この点に関し、証人Cは、平成五年一月二六日にBが原告を訪問して先物取引について説明し、翌二七日正午前にCが原告を訪問し原告から注文を受け、同日に委託証拠金として一二六万円の預託を受けた旨など、原告に対し商品先物取引の仕組み等について十分な説明をしたかのごとき証言をするが、その内容には変遷があるうえ曖昧な点も多く、採用できない。)

2  被告の受託契約準則(一任売買の禁止等)

右受託契約準則(乙三)では、先物取引の概要、委託証拠金等の説明のほか、受託についての禁止事項として、顧客に対して利益が生ずることが確実であることを誤解させる断定的判断を提供して勧誘すること(不当な勧誘等の禁止、二二条二項)、顧客の指示を受けないで委託を受けること(一任売買等の禁止、二三条)などを商品取引員はしてはならない旨記載されているほか、委託証拠金については、一定の例外はあるものの、委託するときは預託しなければならないこと(委託証拠金の額及び預託の時期、九条)、委託者が委託証拠金を所定の日時までに預託しないときは当該取引の全部又は一部を当該委託者の計算において転売又は買戻しの処分することかできること(委託証拠金の不納による取引の処分、一三条)などを記載している。

また、同準則は、被告が委託者に対して、取引が成立した際はその商品の種類、取引日、売付・買付の区分、限月、枚数等の取引の内容をその都度通知すべきこと(取引成立の通知、六条)、預託されている委託証拠金、差引損益金の残額等を毎月一回以上通知すべきこと(委託者に対する定期的残高照合等、一九条)や受託した取引についての処分をその都度通知すべきこと(取引処分の通知、二〇条)などを定めており、本件取引についても、それに従い被告は、原告に対し、「委託売付買付報告書および計算書(乙一〇の一ないし三〇)」、「残高照会ご通知書(乙一一の一ないし一二)」を送付するなどし、原告もこれらに目を通し、取引が注文通りなされているかなどを確認していた(原告本人)。

3  被告の受託業務管理規則(新規委託者の保護)

被告は、受託業務の適正な運営等を目的として、受託業務管理規則を定めているが、それによれば、取引の開始の日から三か月未満の新規の委託者に対しては、先物取引の危険性について十分理解を得るようすべきであり、建玉が二〇枚を超えるときは、被告の本社の総括責任者の同意を得なければならないこと、委託者の資産状況から過大な取引をしないようにすべきことなどの新規委託者保護を定めている。その同意は、「建玉超過申請書」に当該委託者の取引経験、取引に関する理解の程度、資産内容等を記載して行うことになっている(証人C)。

4  本件取引の状況等

本件取引は、前記のとおり、平成五年一月二七日の白金二〇枚の買付(本件取引1、限月同年一二月・約定値段一四五五円、乙一〇の一)に始まったが、Cは、同年一月二九日には、原告に対し、白金の相場が値上がりの傾向を見せているとして買増しを勧め、原告は、さらに白金一〇枚の買付をし(本件取引2、限月同年一二月・約定値段一四六〇円、乙一〇の二)、六三万円の委託証拠金を五日後の同年二月二日に預託した。

原告は、その後もCから白金の相場が上昇基調にあることを伝えられていたが、同月一九日には、Cから自金の相場が下落しており建玉を仕切るか追加証拠金が必要となる事態になりそうであることの電話連絡を受け、同人から、その対応として、両建や追加証拠金を支払って建玉を維持するなどの方法があることの説明を受けた。原告は、これまでのCらの言動から本件取引の利益面ばかりをイメージしていたうえ、Cの相場観を信頼し利益が生ずるとの思いでその助言等に従ってきたことから、内心不満であったが、結局、この時もCの勧めに従って両建をすることとし、三〇枚の売付をした(本件取引3、限月同年一二月・約定値段一三九三円、乙一〇の三)。その結果、新たに委託証拠金として一八九万円が必要となったが、原告が預託したのは同年三月三日であった。

(なお、原告は、かかる追加証拠金が必要となるような事態になり、先物取引の危険性を現実的なものとして認識するようになったことが窺われる。)

Cは、右取引によって、原告の建玉が二〇枚を超えることになるので、受託業務管理規則を定める被告本社の統括責任者の同意を得る手続をした(証人C)。

Cは、同年四月一日には、白金の相場が高値で推移していることなどを伝えるなどしてさらに取引を勧め、二〇枚の買付(本件取引4、限月同年一二月・約定値段一三五二円)と三〇枚の売建玉の仕切買い(本件取引3、約定値段右同)がなされ、三三万〇三一〇円の益金を生じた(乙一〇の四)。

Cは、同年四月五日、原告に対し、白金や外国為替の動向等を伝えられるなどして、一五枚の買付の注文を受けたが(本件取引5、限月平成六年二月・約定値段一三六一円、乙一〇の五)、その後白金の値が下落したとして、平成五年四月九日には追加証拠金が必要となったことを伝えたところ、原告は、追加証拠金を要する事態となったことについて、Cに苦情を述べるなどした。

そして、同月一二日には、追加証拠金の負担を回避するために買建玉四五枚を仕切売りがなされ、一七六万九五二五円の損金を出した(本件取引2、4、5、約定値段は2、4が一三一九円、5が一三二〇円、乙一〇の六)。原告は、これまでに本件取引による差引損は一四三万九二一五円となった。

(このころから、原告は、損失が増えることに危機感を募らせ、なんとかその損失分だけでも回収したいと考え、Cに依存しつつも、徐々に主体性を増して取引に関与していったことが窺われる。)

5  被告のアンケート

平成五年四月二一日ころには、被告は、原告に対し、商品先物取引の仕組み、内容等の理解の確認のためにアンケートを行い、その中で原告は、受託契約準則や被告の渡したパンフレットをよく読んでいる、取引の仕組みは大体わかっている、元本が保証されない投機取引であることを知っている、追証、両建を聞いたことがあることなどの項目には丸印を付けるとともに、注文は担当者に一任してはならないことは知らなかった、証拠金には本証拠金、追証拠金、定時増、臨時増証拠金の四種があることは知らなかったとの項目にも丸印を付けた(乙九)。

6  その後の本件取引の状況等

Cは、原告に対し、頻繁に白金の値動き等の相場状況を伝えていたが、平成五年五月六日には、値下がりが予想されることなどを伝え、原告は、両建となる二〇枚の売付(本件取引6、限月同年一二月・約定値段一三六九円、乙一〇の七)をし、同年五月一一日には八枚の売付(本件取引7、限月平成六年四月・約定値段一三七三円、乙一〇の八)をした。

Cは、その後も白金の値動き等を電話連絡するなどしていたが、平成五年八月九日には、二八枚の売建玉が仕切買いされて、四九万一五一四円の益金を出すとともに(本件取引6、7、約定値段は6が一三一九円、7が一三二六円、乙一〇の九)、四〇枚の買付がなされた(本件取引8、9、限月平成六年六月・約定値段一三三二円、途転である8の一枚は右取引の翌日一〇日に約定値段一三四八円で仕切買いされ九八四円の益金を出した。乙一〇の九、一〇)。

原告は、平成五年八月一二日には、Cからの白金の値が急落したとの連絡を受け、両建となる五九枚の売付(本件取引10ないし13、10、11は限月同年一二月・約定値段一三〇三円、12、13は限月平成六年六月・約定値段一三一二円、乙一〇の一一)をし、平成五年九月二八日には一〇枚の売建玉が仕切買いされ、二六万九八三四円の益金を出した(本件取引10、約定値段一二三五円、乙一〇の一二)。

同年一〇月八日には、一一枚の買付(本件取引14、限月平成六年八月・約定値段一二四三円)と二九枚の売建玉の仕切買がなされ、八〇万一五一七円の益金を出した(本件取引11、12、11の約定値段は一二三五円、12は一二四二円、乙一〇の一三)。

平成五年一〇月一二日には、五〇枚の買付(本件取引15、限月平成六年八月・約定値段一二五七円)と二〇枚の売建玉の仕切買いがなされ、四二万九六六四円の益金を出した(本件取引13、約定値段一二五五円、乙一〇の一四)。

平成五年一〇月一三日には、三一枚の買付(本件取引16、17、限月平成六年八月・約定値段は16が一二七一円、17が一二七六円)と一一枚の買建玉が仕切売りがなされ、一〇万四三一八円の益金を出した(本件取引14、約定値段一二四三円、乙一〇の一五)。

平成五年一〇月一五日には、六〇枚の買付(本件取引18、限月平成六年六月・約定値段一二八一円、乙一〇の一六)が、平成五年一〇月一八日には、五〇枚の買付(本件取引19、20、限月平成六年八月・約定値段一二八一円)と五〇枚の買建玉の仕切売りがなされ、二四万九一六六円の益金を出し(本件取引15、約定値段一二八一円、乙一〇の一七)、平成五年一〇月一九日には、一五六枚の買付(本件取引21、22、限月平成六年八月・約定値段は21が一二九五円、22が一三〇〇円)と一四一枚の買建玉が仕切売りされ、四一万七六二一円の益金を出した(本件取引16ないし20、約定値段は18が一二九八円、16、17、19、20が一三〇〇円、乙一〇の一八、一九)。

平成五年一〇月二一日には、一六六枚の買付(本件取引23、24、限月平成六年八月・約定値段一三二四円)と一五六枚の買建玉が仕切売りされ、七八万九八三一円の益金を出した(本件取引21、22、約定値段一三二四円、乙一〇の二〇)。

平成五年一〇月二二日には、五枚の買付(本件取引25、限月平成六年八月・約定値段一三二二円、乙一〇の二一)がなされた。

このように、平成五年八月ころからは、取引は比較的順調に推移して差引益二三八万七五五四円を出したが、原告は、益金をすべて委託証拠金に振り替えていた。

ところが、原告は、平成五年一一月二日に、Cと被告の従業員Dから電話連絡を受け、その中で、白金が大幅に下落し追加証拠金が必要となったこと、今すべての建玉を仕切り取引を終えると原告には一〇〇万円程度しか戻らないこと、かかる事態への対応としては両建があるがそれには一一〇〇万円余の委託証拠金が必要となることなどの話があった。原告は、妻からも取引の終了を求められるなどして、取引から手を引きたいとの気持ちを強くしていたが、これまでの本件取引に投じた資金を回収するためには、Cらの勧めに従うほかないと考え、結局、一一〇四万円もの新たな委託証拠金が必要となる両建をすることとし、二三〇枚もの売付(本件取引26ないし31、限月平成六年八月・約定値段一二七九円、乙一〇の二二)をした。なお、この日の電話連絡を境に、原告に対する連絡等は右Dがするようになり、Cは原告への対応をしなくなった。原告は、右委託証拠金を捻出するために、十六銀行から融資を受ける手続をし、平成五年一一月二二日に一一〇四万円を融資を受け(甲一六)、委託証拠金として被告に預託した。

同年一一月二九日には、二〇枚の売付(本件取引32、限月平成六年八月・約定値段一三一八円)と三〇枚の買建玉を仕切売りし、三〇万〇五一五円の損金を出した(本件取引23、約定値段右同、乙一〇の二三)。

平成五年一一月三〇日には、二五枚の売付(本件取引33ないし35、限月平成六年一〇月・約定値段一二九一円)と二〇枚の売建玉が仕切買いされ、一二万九六六〇円の益金を出し(本件取引32、約定値段一二九一円、乙一〇の二四)、平成五年一二月一三日に一三〇枚の売付(本件取引36ないし39、限月平成六年一〇月・約定値段一三四五円)とももに一四一枚の買建玉が仕切売りされ、二八万四五五八円の益金を出した(本件取引24、25、約定値段一三四二円、乙一〇の二五)。

平成五年一二月一四日には、三五枚の売付(本件取引40ないし42、限月平成六年一〇月・約定値段一三六二円、乙一〇の二六)と三九枚の買建玉が仕切売りされ、二七万二三二〇円の益金を出した(本件取引9、約定値段一三六〇円、乙一〇の二六)。

平成五年一二月二〇日には、二〇枚の買建玉が仕切売りされ、九〇万五〇八三円の(本件取引1、約定値段一三八一円、乙一〇の二七)、翌二一日には、二一五枚の売建玉が仕切買いされ、一一二五万七七六〇円の(本件取引26ないし28、33、36、40、約定値段は26ないし28が一三九八円、33、36、40が一三九九円、乙一〇の二八)、翌二二日には、一〇〇枚の売建玉が仕切買いされ、四七九万七二四三円の(本件取引29、34、37、41、約定値段は29が一三八八円、34、37、41が一三九〇円、乙一〇の二九)、同月二四日には、全ての建玉(売建玉一〇五枚)が仕切られ、四四四万四八二一円の損金を出すに至った(本件取引30、31、35、38、39、42、約定値段は30、38が一三七七円、31が一三七五円、35、39、42が一三七六円、乙一〇の三〇)。

7  本件取引の終了

右のとおり、原告は、最終的には、平成五年一二月二四日に建玉をすべて決済し、本件取引は終了した。本件取引による委託手数料は八三〇万二八〇〇円であり、本件取引による売買差損は二〇九六万三六五〇円であって、結局、原告は、本件取引によって、預託した委託証拠金二〇〇二万円と返還された一一一万六三五〇円との差額である一八九〇万三六五〇円の損害を被った。

二  以上の事実を前提として、原告の主張を検討する。

1  断定的判断の提供について

前記認定のとおり、BやCは、原告に対し、商品先物取引が投機目的のもので、当然のことながら利益が生ずることも損失が生ずることもあることを前提に、白金については現在は利益が生ずる可能性が高いとの自己の相場観を示したというべきであり、原告も、本件取引が投機目的のものであり、損失を生ずることもあることを理解していたと認められるのであるから、BやCの言動が、投機的側面の利益な部分を強調したことは窺われるものの、これを超えて、原告の主張する利益が確実である旨の断定的判断の提供をして勧誘したとまで認めるに足りる証拠はないというべきである。

2  一任売買又は無断売買について

原告は、本件取引は一任売買あるいは無断売買である旨主張するが、前記認定のとおり、被告から原告に対し、各取引の都度、その取引内容を記載した「委託売付買付報告書および計算書」や、毎月、委託証拠金の残高照等を記載した「残額照会ご通知書」が送付されており、原告はこれに目を通しその取引内容等を確認しているうえ、遅くとも平成五年四月二一日ころに被告のしたアンケートで一任売買が禁止しされていることを知り得たにもかかわらず、原告が被告や担当者であるCらに対し取引が無断でなされたとか注文どおりなされていないなどの苦情等を述べたことがないことなどからすると、原告が商品先物取引に習熟していたとまでは言い難く、殊に、右アンケートには一任売買が禁止されていることを知らなかったとの項目に印を付けていることなどから、とりわけそれまでの取引がほとんどCの助言等に従って数量、値段等を決していたことが窺われるもので、主体的になされたものとはいえないにしても、原告の注文による取引であることにはかわりなく、本件取引が一任又は無断売買であることを認めるに足りる証拠はないというべきである。

3  新規委託者の保護義務違反について

被告の受託業務管理規則の定める新規委託者保護規定は、被告の内部規則ではあるが、商品先物取引が、いわゆるハイリスク・ハイリターンの極めて投機性の高い取引であるうえにその仕組みも複雑なものであることから、取引を始めて間もない習熟期間においては建玉を制限して、不測の損害を回避しようというものであり、かかる趣旨からすれば、商品取引員は、委託者に対し、右習熟期間内の過大な取引を行わないようにすべき一般的な注意義務を負い、その違反が不法行為を構成する余地があるというべきである。

そこで本件取引についてみるに、本件取引は、Bから原告がその勧誘を受けた平成五年一月二五日の二日後の同月二七日の二〇枚の買付に始まり、その僅か二日後にはさらに一〇枚の買付がなされて建玉三〇枚となり右制限を超えたもので、三か月の習熟期間内には合計九五枚の取引(本件取引1ないし5、買付六五枚、売付三〇枚でうち買建玉四五枚、売建玉三〇枚は右期間内に仕切られ、合計一四三万九二一五円の損金を出している。)がなされている。そして、証人Cは、受託業務管理規則に定める超建玉の取引について被告本社の統括責任者の同意を得る手続をした旨証言するが、右手続に要する「建玉超過申請書」には委託者の取引経験や資産内容等を記載して行うものとされているところ、原告の取引担当者であるCですら、その記載すべき原告の資産内容のある程度正確なところさえも把握していたとはいえないうえ、原告にはそれまで商品先物取引の経験がないことなど当時の原告の商品先物取引の経験や習熟の程度等をも考えると、新規委託者である原告に対する配慮が不十分であることは明らかである。

してみると、本件取引は、新規委託者保護の観点を欠いたもので、被告が負うべき新規委託者に対する一般的な注意義務を怠ったものというべきである。

これに対し、被告は、原告が社会的地位も年収も十分に持つと推認される開業歯科医師であること、被告の従業員から本件取引について十分な説明を受けていたこと、本件取引開始から三か月目には取引の仕組みと危険性を十分に理解していたこと、Cが強制や甘言を用いて取引の勧誘をしていないことなどからしても、新規委託者に対する保護義務に違反するものではない旨主張する。

しかしながら、新規委託者保護規定は、商品先物取引の投機性の高さや仕組みの複雑さに鑑み、特に新規委託者について、その各人の資力、取引の理解の程度等に応じて個別的具体的な配慮を要求しているものと解されるのであって、開業歯科医師であるなどから一般的な資力を推測するだけでは足りないことはもちろんのこと、本件においては、原告の取引経験、本件取引開始の状況等からも、三か月の習熟期間に、商品先物取引の仕組み等の十分な理解が原告にあったとは認められず、一任売買とはいえないにしても、相当程度Cに依存して原告が取引内容を決していたことが窺われるのであって、被告の主張は採用できないというべきである。

4  無意味な反復売買等について

原告は、本件取引が被告による委託手数料稼ぎを目的として無意味な反復売買等であると主張するので、以下、検討する。

ところで、売又は買直し、途転、両建のいずれにしても、相場の変動状況等によっては、それぞれに有用な取引方法であり、もとよりそれ自体が違法、不当なものとはいえないが、他方、これらの取引がそれを有用とする相場の変動状況等には関わりなくなされると、委託者には委託手数料の負担だけが増えるなど無益な取引となるのであって、委託者の負担において受託者が委託手数料を不当に取得する目的でなされる危険性も否定できない。また、これらの取引手法が、相場の変動状況等から一応の有用性を有する場合であっても、委託者が取引員に依存し主体的に取引に関わっているとはいえないような状況下においては、取引員がかかる状況を利用して取引を拡大するなど、委託手数料を不当に取得する手段として利用されるおそれも否定できないというべきであって、そのような場合も、それらの取引手法が違法なものとして、不法行為を構成する余地があるというべきである。

なお、無敷、薄敷は、委託証拠金が委託者に対して生ずる債権の担保のため預託されるもので、取引員が委託証拠金の預託なくして取引をしたとしても、取引の不健全さを窺わせるにしても、そのことが直ちに委託者に対する不法行為とはならないというべきである。

本件取引(1ないし42)は、平成五年一月二七日から同年一二月二四日までの約一一か月間になされたものであり、売又は買直しが四回(本件取引17、22、23ないし24、33ないし35)、途転が一回(本件取引8)、両建が五回(本件取引3、6、10ないし13、26ないし27、28ないし31)なされているが、本件取引においては、その頻度、原告の商品先物取引に対する習熟の程度、原告のCらの被告の従業員への依存の程度、本件取引が、新規委託者の保護義務に違反したものであることや取引に遅れて委託証拠金が預託されていることなど、その不健全さを窺わせるものであることなどを併せ考えると、本件取引がCらの誘導によりなされた無意味な反復売買等であることを推認させるものというべきである。

以上に照らすと、Cらの誘導により、本件取引全体を通じて、無意味な反復売買がなされ、これによって損失が生じたものといえる。

なお、原告は、被告が本件取引における原告の建玉に対当してなす向かい玉を建て、不当な売買利益を得る目的で、原告に不利な取引をさせて損失を被らせたと主張するが、右事実を認めるに足りる証拠はない。

三  損害

本件取引によって生じた原告の損害(預託した委託証拠金と返戻された金員の差額)が、一八九〇万三六五〇円であることは争いがない。また、本件に現れた一切の事情、殊に、被告が新規委託者保護義務を怠ったこと、被告の従業員の断定的判断の提供を認めることができないこと、本件取引が一任あるいは無断売買とはいえないことなどを総合すれば、慰謝料は一〇万円をもって相当と認める。

しかしながら、商品先物取引が利益を生ずることもあれば損失を受けることもあるという程度の危険性は当然常識として認識すべきであり、本来、商品先物取引が委託者の自己責任においてなされるべきものであって、殊に、原告の職業、社会的地位、その有すべき社会常識、一般教養等からはより深い理解を期待しても不都合はないはずである。そして、本件取引が、Cらに依存してなされているとはいえ、原告の意思に基づきなされ拡大していったものであり、原告は本件取引の都度その内容、結果についても通知等の報告を受けているうえ、原告は、本件取引のなされるなかで、徐々に商品先物取引や商品についての知識を身に付け主体的とまではいえないにしても、それなりに本件取引に関与するようになっていったことが窺われることなどからすると、本件取引による損失の発生、拡大については、原告においても相当な落ち度があるといわざるを得ない。

そこで、右損害については、右の点及びその他本件にあらわれた一切の事情を考慮すると、その過失の割合は六割をもって相当とする。

また、弁護士費用相当の損害金は、本件事案の内容、その難易等を考慮すると、一四〇万円をもって相当と認める。

第四結論

以上により、原告の請求は主文掲記の限度で理由があるからこれを認容し、その余については理由がないのでこれを棄却し、仮執行宣言については、相当でないからこれを付さないこととし、主文のとおり判決する。

(裁判官 安藤範樹)

<以下省略>

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